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2025.02.13

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組織名:电気电子工学科

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タグ:大学院, 学生の活躍, 研究

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【理工学研究科】小幡玲二さん(2023年度 博士前期課程修了)の研究成果が著名なドイツ学術誌「Advanced Materials」に掲載 ~新奇原子層磁性体「Fe?GeTe?」の物性解明と次世代素子応用への道を拓く~

小幡玲二さん(2023年度 理工学研究科 理工学専攻 机能物质创成コース 博士前期課程修了、当時春山純志教授研究室所属)の研究成果が、2025年1月5日(日)、インパクトファクター(IF)*? 約30を誇るドイツ学術誌「Advanced Materials」に掲載されました。

研究概要

原子数层の薄さをもつ新奇原子层磁性体「贵别?骋别罢别?」*?をスコッチテープによるバルク结晶の机械剥离で形成し、2个の破片を回転させながら直接积层すると、回転角度に応じて破片间で电子のスピン*?が相互作用する磁気トンネル接合*?抵抗特性が疑似的に现れることを発见したものです。トンネル接合を意図的に形成しなくとも、破片间の格子不整合が诱起するファンデルワールスギャップが、このトンネルバリア层の働きをして出现するものだと考えられます。これにより将来、次世代磁気メモリ素子などが原子层磁性体の直接回転积层のみで创成できる道が大きく开かれました。

図1

オランダ特注の特殊な积层顕微镜(下部写真参照)で、原子数个の薄さの2つの磁性体破片を様々な角度で回転させながら直接积层した写真例(図1)。破片间には意図的にトンネル膜を形成しておらず、回転角45度で2つの破片间の结晶格子の不整合が大きくなります。

図1
図2

図1の回転角45度で积层した试料によって発见された疑似磁気トンネル接合抵抗特性(図2)。青线は、赤矢印で指したゼロ磁场付近での长方形状のピーク。横轴が印加磁场で縦轴が磁気抵抗の比。挿入図の矢印は、电子の自転(スピン)の向きを意味しています。このピークが出る磁场领域では、2つの破片のスピンが反対向きになる(矢印方向が反対)ため、相互间にスピンが流れ难くなり高い磁気抵抗比が出现します。破片间にトンネル膜を形成してないにもかかわらずこの特性が出现するのは惊きで、これが破片间格子不整合に起因することを究明しました。

図2
小幡さんが原子层破片の回転积层に用いたオランダ?贬蚕グラフェン社の2次元ヘテロ构造结晶作成システム(贬蚕グラフェン社公式ウェブサイトより)

小幡さんが原子层破片の回転积层に用いたオランダ?贬蚕グラフェン社の2次元ヘテロ构造结晶作成システム(贬蚕グラフェン社公式ウェブサイトより)

なお、この研究は、東京大学 工学部 物理工学科 齊藤英治研究室、工学部 機械工学科 丸山茂夫研究室、生産技術研究所 平川一彦研究室、大阪大学 産業科学研究所 末永知和研究室、国立研究開発法人物質?材料研究機構、ネブラスカ大学 物理学科 エフゲニー?チンバル研究室(アメリカ)との共同研究で、本学先端技術研究開発センター(CAT)のプロジェクトの一環で実施しました。

小幡玲二さんからのコメント

今回は、私が昨年度、博士前期课程の时に取り组んだ研究成果が、高インパクトファクターを持つ学术誌に掲载され、本当に嬉しく思います。かなり苦労が多く大変な研究でしたが、根気强く顽张った甲斐がありました。

この研究は、以前炭素原子1个の薄さの物质「グラフェン」の作成で开発され、世界で流行している、原子1个から数个の薄さの破片(原子层破片)を、元の结晶からセロテープで剥离して作成するという手法に基づくものです。金属から半导体、磁性体、超伝导体など、现在あらゆる原子层破片がこの手法で创製され、基础物性、素子応用両面から激しい研究竞争が行われてますが、近年さらに复数の原子层破片を、スタンプを押すように积层させてファンデルワールス力(原子同士に自然と働く引力)のみで结合する手法が开発され、大きなうねりとなっています。特に2つの原子层破片をたった1度だけ回転させて积层すると、その物性が剧的に変わるという「魔法角」が発见され、この4、5年で世界を席巻しました。

そこで私は、新奇原子层磁性体贵别?骋别罢别?(贵骋罢)を作成し、これを2个大きく角度を変えて直接回転积层しました(図1)。すると回転角に応じて、磁気トンネル接合と呼ばれる构造が自然と创製されることを世界で初めて発见しました(図2)。一般にはこの构造、特性は2つの磁性体の间にトンネル膜を挿入しないと起きませんが、私の场合、何も挿入せずに直接积层したので、极めて不思议な结果で惊きました。大阪大学などと共同で构造を详しく调査したところ、破片间に空いたわずか数个程度の原子の隙间(ファンデルワールスギャップ)がこのトンネル膜の役割を果たし、回転角度によって破片间に起きる结晶格子の不整合がこの隙间を変えることで、この现象が発生することを解明しました。

この贵骋罢がかなり复雑な结晶构造を持つため、これを原子数个分に薄くする作业は困难を极め、さらにこれを回転角度を制御しながら2个积层するのはもはや职人芸の领域でした。しかも、この破片は酸化しやすいため、短时间でこれを行った后に、その上から原子层窒化ホウ素という絶縁体をかぶせて酸化を防ぐ必要がありました。连日朝から晩まで特殊な积层顕微镜の前でこの作业に没头し、ようやく良い特性の试料ができた时には、本当に涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。

こうして苦労した成果が世界でも着名な学术誌に掲载され、苦労が报われました。この研究では修了时に学内大学院の荐田赏もいただくことができました。お世话になった皆さまに心より感谢いたします。

指导教员(春山纯志教授)からのコメント

昨年度、当研究室の博士前期課程を卒業した小幡さんの研究成果のIFが30前後とかなり高く、世界でも著名な学術誌「Advanced Materials」に掲載され、非常に嬉しく思います。ポスドク(博士研究員)の成果が載るような論文誌に、本学博士前期課程での研究成果が掲載されたのは異例のことで、本当に素晴らしく、誇らしいことだと思います。

実は小幡さんは、学部時代から博士前期課程卒業までの3年間で3件も論文を発表しており、そのうち2件がこの「Advanced Materials」に掲載という快挙を成し遂げました。特にこの論文は、複雑な結晶構造を持つ原子数個の薄さの新奇磁性体破片を、元になる厚い層状結晶からセロテープを使って剝がし、それら2個の破片を面内で制御回転させながら角度をずらして積層するという超職人芸的な技が産み出したもので、壮絶な努力無しでは成し遂げられなかった素晴らしい成果です。

また、小幡さんは、当研究室に正式入室する前の3年次の春休みからすでに実験を始めており、共同研究先の东京大学にも通っていました。その后、学部?博士前期课程を通して、毎日朝から晩まで日々たゆまぬ努力を重ね、この职人芸を身に付けて见事な成果を达成したもので、本当に头が下がる思いです。最近なかなか见かけなくなった阴の努力を黙々と継続できる素晴らしい学生でした。现在は社会人として活跃していますが、この论文掲载を闻いて大変喜んでおり、これを励みに今后より一层活跃することを心より愿っています。

注釈

*?インパクトファクター(IF):Journal Citation Reports(JCR)が毎年提供する自然科学?社会科学分野等の学術雑誌(ジャーナル)の影響度を表す指標の一つ。ジャーナルに掲載された論文が、どれくらい他誌に引用されているかを示しています。一般的な論文誌のIFは約3以下程度。

*?新奇原子层磁性体「贵别?骋别罢别?」:近年盛んに研究されており、电子スピンに関する新现象が次々と発见されている磁性体材料。例えば、「磁化を発现する温度が室温に近く高温」、「极めて高いトンネル磁気抵抗比が期待されること」、「スピンの涡状集団スキルミオンが高温で存在すること」などがあげられます。

*?スピン:物质を构成する原子中では、电子は原子核を周回しながら自身が地球のように自転しており、この自転をスピンと呼びます。例えば强磁性体は、有効な电子のスピンがすべて同じ方向に向き磁化を発现することで磁石になるという特徴を持ちます。この电子スピン制御の一つの方法としては、外部からの磁场印加があります。

*?磁気トンネル接合:2つの磁性体を积层する时に、その间に电子が透过(トンネル)する程度の薄いトンネル膜を挟んだ构造。同じ方向に自転する电子スピン同士はこの2つの破片间を透过しやすく、逆向きに自転するスピンは反発して透过しがたいです。このため、印加する磁场を+-间で扫引し反転させると、その反転点であるゼロ磁场付近で2つの破片中の电子スピン方向が逆向きになるため、破片间の电子スピンの流れに高い磁気抵抗が生じます。この磁気抵抗の最大?最小の比が応用上极めて重要で、比が大きいほど磁気メモリ素子などへの応用が有利になります。

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